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書論「墨彩の庵より」

書論「墨彩の庵より」



この書論と併せて水島二圭のブログ、「墨彩の庵にて」の『書心貫徹』も是非ご高覧下さい。

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プロの書家とは?

 書は料理に似ています。
 日常的なものでありながら奥が深く、幅が広く、極めることは至難の技です。
 難しさの理由は、技術性の高さにあります。
 書であればまずは「筆使い」、料理であれば「包丁さばき」でしょう。
 従って、包丁が使いこなせなければプロの料理人とは言えないように、筆が使いこなせなければプロの書家とは言えません。
 しかし、現実に目を向けると、筆を使いこなせない“自称”書道家が何と多いことでしょう。
 「この程度の字しか書けなくてどこがプロなの?」と疑わざるを得ない自称書道家が大手を振って(マスコミロードを?)歩いています。
 彼らは「筆を振り回して人目を引いているだけ」です。
 料理でいえば、包丁を振り回しているわけですから、危ないこと、この上ありません。
 「誰か注意してあげてよ」
 「誰か止めさせてよ」
 「そのうち自分が傷ついちゃうよ」
 通りがかりの人たちはそう思いつつも、直接自分に累が及ばないので黙って見過ごしているだけ、そんな状況でしょうか。
 彼らはパフォーマンスで包丁を振り回しているだけで、実は、大根の千切りひとつ満足にできないのです。
 たまたま作った創作料理の味が評判になり、気が付いたら書家の肩書がついていた、という程度に過ぎないのです。
 大変恐ろしく、嘆かわしい現実ですが、更に恐ろしいことには、かなり名の通った書家の中にもその程度の方が少なからずいるのです。
 一体なぜこんなことになってしまったのでしょう。
 私は「本来は技術家であるべき書家が芸術家を気取ってしまったこと」にあるのではないかと思っています。
 詳しいことは他で述べておりますので、そちらをご覧いただくことにして、プロの書家の要件をまとめてみましょう。
 「プロの書家は、一流の料理人が包丁を自在に使いこなすように、筆を自在に使いこなせなければならない。筆を自在に操れるようになるには20年、30年の修業が必要だが、それを経ずしてプロにはなれない。書に芸術としての価値があるとするならば、それは、高い技術性の果てに垣間見えるものであって、求めて得られるものではない」
 ちなみに、私は「まあまあ筆が使いこなせるようになったかな」と思えるようになるのに50年近くかかりました。



パソコンの筆文字と手書きの筆文字、ここが違う。
 

 パソコンの筆文字と手書きの筆文字は、一字一字を比べると大きな違いはありませんが、熟語や文章にしてみると歴然と違いが出てきます。
 パソコン筆文字の場合は活字と同じように、一定のマスの中に納まるように作られていますから、前後の文字の画数や字形には全く関係なく、常に同じ大きさ、同じ字形で打ち出されてきます。
 ところが、毛筆に限らず、字というものは、前後、左右に来る文字がどんな文字なのかを考慮して書かなければ「生きた文字」にはなりません。
 基本的なポイントを幾つか挙げますと、「画数の少ない字は小さ目に太い線で」「画数の多い字は大き目に細い線で」「前後に同じ大きさの字を揃えすぎないよう、なるべく大小のメリハリをつけて」等々。それらに配慮して書くのが書というものなのです。
 通常のお手紙などは「伝達を主目的としたもの」ですので、あまり神経質に考える必要はありませんが、年賀状の宛名書きや慶弔の文書などは、書法を踏まえた「生きた文字」で書きたいものです。
 理論的なことはその辺にして、実例を挙げて、パソコン筆文字と手書き筆文字との違いを見てみましょう。
 パソコン筆文字と手書き筆文字の
 いかがでしょうか。
 言うまでもなく、右がパソコン筆文字、左が私が書いた筆文字です。
 「東西」の字の大小が随分違います。右のパソコン筆文字の西は上の東と同じ大きさで書いていますので、空間が間延びしてバランスが悪くなっています。東という字が窮屈に見えます。
 左の例でも「埼玉」の埼の字と玉の字の大小関係、「狭山」の狭の字と山の字の大小関係についても同じことが言えます。
 このように、手書きであれば前後の文字との関係性の中で、文字の大小、線の太細、あるいは墨の潤渇を考えて「文字に生命感を与える」ことができるのです。パソコン筆文字ではそれができないのです。
 料理でいえば、手書きの筆文字は正真正銘の「懐石料理」、パソコン筆文字は「定番の和風定食」といったところでしょうか。
 字の上手下手はともかく、「命の通った」手書きの文字を大切にしたいものです。




書道の展覧会は異次元の世界?


 「読めない漢字や仮名の作品ばかりで全く面白くなかった」
 「確かに迫力はあるけれど、正直言ってどこが上手なのか全くわからない」
 書道展を見た人たちからそんな声をよく聞きます。
 考えてみると、書ほど「書き手」と「鑑賞者」の意識にずれがある芸術はないかもしれません。
 実は、書き手としての書家、書人の方たちは大半が、書を文字としてではなく「線の芸術」としてとらえています。線が命ですから、字が読めても読めなくてもあまり関係がないのです。
 「それなら字を書かずに〇でも△でも□でもいいじゃないか」ということになります。
 そのとおりです。私もそう思います。
 でも彼らは字を題材にしたがります。もともとが字を書く技術ですから、字から離れたくないのかもしれません。
離れたくないなら、「上手な字を書く」「美しい字を書く」ということに徹すればよいのでしょうが、技術性に徹する修行は辛すぎるのかもしれませんし、詰まらないのかもしれません。
 先日の大場久美子さんとの対談でも申し上げたのですが、書に芸術としての側面があるとするならば、それは「技術としての書を追い求め、追い求めていく中に垣間見られるものでしかない」と私は思っています。
 いずれにしても、展覧会の書は、書をやっている者同士にしかわからない異次元の世界になってしまったのかもしれません。残念なことです。
 私は「上手な字」「美しい字」そして「読めて味わいのある作品」を目指して孤高の道を歩み続けます。



「よい書」とは?


 
「よい書とは、書き手の運筆の呼吸が絶妙で、それが見る側にも心地よいリズムとなって伝わるもの」
 それが、長年の書の修業を経て私が辿り着いた結論です。
 字の形、線の太細、墨の潤渇、(条幅作品などであれば)文字の布置など、書の評価にはいろいろな要素がありますが、最も大切なものは書き手の運筆の呼吸であると私は思います。
 呼吸が乱れていては字形も整わず、線の太細、墨の潤渇もままならず、布置にも神経が行き届かなくなってしまいます。
 古典の名品を見ていると、その書き手の呼吸が陶酔感にも近い感覚で伝わってきます。中には顔真卿の書のように非常に強い息遣いを感じさせられるものもありますが、その基底には整然とした魅力的なリズムが流れているように思えてなりません。
 さらに、運筆の呼吸の妙ということで言えば、私は日本の書は中国の書を凌ぐと思っています。
 特に小野道風の書のリズムは、日本人の感性そのものと思えてなりません。その作品の基底には、気が遠くなるような厳しい自己鍛錬の果てに生まれた確かな技術が滲み出ています。
 私は、先人たちの足跡をしっかりと見つめ、確かな技術に裏打ちされた現代日本の書を追い求めていきたいと思っています。
書道作品、掛軸


道風の書

平安から平成へ。
新しい日本の書を求めて。


漢字と仮名の混じった日本語は極めて機能的な言語ですが、書写の面からみると、直線的な漢字と曲線的な仮名の線が混在していて大変厄介な言語です。
 漢字が曲線主体の草書体であれば、違和感なく漢字仮名まじり文が書けるのですが、現代のように楷書が主体になると仮名との調和が難しくなってしまいます。
 戦後、多くの書家が「調和体」や「近代詩文書」といった名称で、漢字と仮名の調和を目指し、いろいろな試みをしてきましたが、十全な成果は出ていないようです。
 私は、故あって書壇から離れていますが、長年にわたって漢字仮名まじり文、つまり日本人の書は如何にあるべきかを探求してまいりました。
 そして、それなりの成果は得ることができたと自負しております。
 キーワードは「平安から平成へ」。平安の書を見つめなおすこと、特に小野道風の書を見つめなおすことが真の日本人の書を蘇らせる起点になると確信するに至りました。
 これまでNHK文化センターをはじめとするカルチャースクールなどで、これまでに得た成果をもとに書写の指導、そしてそれに付随した形での墨彩画の指導に当たって参りましたが、これからは、このホームページを通じて、より多くの皆様に発信してまいります。
 是非ご期待ください。そして、是非宜しくお願いいたします。

書道作品、掛軸

            水島二圭書 夏目漱石の句
 
      

《漱石の名句を小野道風の線質を意識して書いてみました。「文字の大小」「線の太細」「墨の潤渇」といった創作的要素も味わって頂ける作品になっていると思います。》



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