書道上達コーナーその三
書道上達コーナーその三
美しい文字を書くためには「字形に関心を持つこと」が大切です。
言うまでもないことですが、文字を美しく書くためには字形が整っていなければなりません。
線の長さや線と線の間隔、線の角度、点の位置、偏と旁の位置関係など、色々な要素が文字を構成しています。書には「線質」という、もう一つの大切な要素がありますが、細字や硬筆などの実用書においては、字形は線質に優先すべきものと言ってよいと思います。
では、字形はどうやって学ぶべきでしょうか。
書道の先生に書いてもらったお手本や名筆を見て練習することは当然大切なことですが、それよりも大切なことは「字形に関心を持つこと」です。「美しい」と思った字を見たときに「どこが、なぜ、美しいのか」自問してみることです。そして、その上で真似をしてみることです。
ある文字を美しく見せる字形は一つとは限りません。「山」という単純な字でも、いくつかの美しい字形を持っています。平仮名の「あ」にもいろいろな美しい字形があります。そして、どの形を美しいと感じるかは人によって違います。また、時によっても変わってきます。
字形には唯一無二の固定した美しさというのはありません。個人個人がその時その時の自分の美意識を基づきながら追求して行くしかないのです。
大変なようですが、そこにこそ「字を書くことの奥深さと楽しさ」があるのだと思います。
漢字の字形を整える上で「偏と旁の位置関係」はとても大切なポイントになります。
一例として「郡」「郎」の「おおざと」の高さを見てみましょう。
おおざとの位置が低くなると、それにつれて下の膨らみ部分が小さくなってきます。どの形が良いということではありませんが、私は、左右の空間のバランスから考えて(2)の形が良いと思いますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
「字形に関心を持つこと」は美しい字を書くための絶対条件と言ってよいでしょう。逆に言えば、字形に関心を持って文字に接していれば必ずきれいな字が書けるようになります。
今まで字形をそれほど意識していなかった方は今日から、それなりに意識していた方は更にしっかりした観点から字形を見つめて直していただければ大変嬉しく思います。
Youtubeで「字を上手に書くコツ」の動画を配信しております。
是非ご覧ください。
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